第二十三回 舞子の話
2018年9月14日
これは、実際に存在する女性のお話です。
舞子(仮名)は子供の頃から優等生でした。
舞子は、両親を心配させることもなく、成績は常に上位。勉強だけでなくスポーツも得意。友達も多く、クラスでは人気があり、何度も学級委員をしてきました。
けれど、舞子が苦手だったことが1つだけあったのです。
それが、「恋愛」です。
舞子は中学生や高校生になりました。周りの女子が男子との恋愛の話を聞いても、舞子は恋愛をしたいとは全く思えませんでした。
実は、彼女の中に男性に対する生理的な嫌悪感が強く、男という存在が放つ匂いや質感、言葉やふるまいすべてが汚く見えていたのです。舞子はそんな存在である男性と親密に関わりたくなかったのです。常に、一定の距離を保ち、同性の友達とだけ仲良くしていました。
けれど、同性の友達たちにも彼氏が出来始めます。
舞子と彼女たちが過ごす時間はどんどん少なくなりました。
舞子はその時間を埋める為、勉強や部活に没頭しました。その結果、舞子は志望大学にも合格することができました。
大学に入ってからも、舞子の男嫌いは相変わらずでした。
しかし、舞子の容姿は、さなぎが蝶になるように、美しく開花し多くの男性を惹きつけました。
相変わらず、舞子は恋愛に興味を持つことが出来ず、大学で新たに出会った同性の友人たちと、サークルなどの大学生活を楽しんでいました。
そんな舞子に、運命の瞬間が訪れます。
初めて、恋に落ちたのです。
その相手は、大学のゼミで教授の助手をしていた年上の男性でした。舞子よりも20歳以上年上。上品で優しく、知的で大人の男性。
舞子の初めての恋愛は、舞子の体の奥深くから好きだという感情が溢れてくるような情熱的な感覚に溢れた恋愛でした。
けれど、彼との恋愛には大きな問題があったのです。
それは、
彼が既婚者だったから。
彼は、学生結婚でした。奥さんは大学時代の同級生。舞子の事は好きだけれど、今すぐは奥さんと離婚することは出来ない。でも、夫婦の関係は、冷え切っていてお互いに気持ちはない、別れるのは時間の問題だから少し待っていて欲しい、と舞子に伝えていました。
恋に落ちてしまったら、そこから引き返すことは出来ません。
舞子は、それでも一緒に居たいと彼との恋愛を続けました。
舞子と彼の関係が、彼の奥さんの知ることとなりました。
彼の奥さんは、ある日、自殺未遂事件を起こしました。
彼と舞子の恋は、突然に終わりました。
舞子は、初めて好きになったこの彼との別れを受け容れられませんでした。
精神的に追い詰められ、大学も辞めることになり、自宅に引きこもるようになりました。
時が経ったある日、
舞子は少しずつ外出するようになり、アルバイトもする様になりました。
もともと頭が良く優秀だった舞子は、アルバイトから正社員になることができました。
社会人となった舞子は失恋の傷も癒え、日常の生活を取り戻すことができました。
そして舞子は、30歳になりました。
舞子は、2回目の恋に落ちます。
2回目の恋の相手もまた、15歳以上年上で、既婚者だったのです。
今現在も、舞子は、その既婚者の彼と付き合っています。
一番初めの恋愛から大きな影響を受ける恋愛の価値観。
1つの恋愛が、きちんと消化されないまま終わりを迎えた場合、
その相手の幻影を、次の恋愛の相手に求めてしまうことは大変多いのです。
私達は無意識に、「何かに没頭したい」または「依存したい」という願望を、常に抱えて生きています。
何かに夢中になる感覚は、「苦しさ」と共に同じ位の「快楽」も与えてくれます。
その一つが「恋愛」です。
舞子がもし、中高生の時、異性を忌み嫌うことなく、同級生や先輩と、甘酸っぱい初恋を経験していたとしたら、、、
不倫の恋愛を繰り返すようになっていたでしょうか・・・
舞子が大学生の時に恋に落ちた相手が、もし、独身だったら、そのまま結婚したのかもしれません。
どんな恋愛を、選択するか。
それが貴女の人生に及ぼす影響は決して小さくはありません。
舞子の話からあなたは何を感じましたか?
著者紹介:西澤 史子
- 1968年生まれ横浜市出身。株式会社ループ 代表取締役社長。
短大卒業後は、在学中に所属していたモデル事務所所属のモデル・MC,TVレポーターを経て某大手電器メーカーの法人営業を中心に13年間勤続後、年間四十万人以上を動員する業界最大手のカップリングパーティーイベント企画会社で、広報及び法人営業統括部長兼専属婚活アドバイザーとしてテレビ番組レギュラーを務め、年間100本以上の婚活企画をプロデュースし、地方自治体への婚活事業コンサルテーションも担当する。
2012年株式会社ループ設立。
コミュニケーションコンサルタントとして、活動領域をダイバーシティ、女性活用と育成、コミュニケーション教育へも広げ、全国で研修・講演を行っている。